生活をうばふことと、
この二つの必然を生むのはブルジョア的です、
彼等はこの二つを殆んど同時にやつてしまふ、
わたしたちの愛は
孕ますこと、生活を奪ふことは
いつも私達のイデオロギーの
叡智によつて救はれる、
女よ、あなたは正しいときに、
美しい優しい母親とおなりなさい、
それを貴方は愛人に
要求することを忘れぬやうに、
叡智にかがやいた愛の行動を
愛する人のうちに求めるやうに。


文学の大根役者に与ふ
  ――この詩を指導者らしい顔付の男に――

芝居の花道で
あんまり醜態を演ずるな
文学と政治で引つこみの
つかない大根役者は
何時までたつても
指導者らしい顔つきをして
観客が見てゐないのに
まだ引つこまない
君はなんといふ
極左主義的
一徹短慮な浅野内匠守長矩侯だ
忠臣蔵は筋書どほりやりたまへ
吉良上野介を今こゝで
殺してしまはふとジタバタしても無理だ
とにかく我々は敵の眉間《みけん》だけは
傷つけたのだから
吉良の用心棒に
後から羽掻じめにされたのだから
さう舞台の上で一人で
感情的になつても駄目だ
一応幕にするさ
いつかは吉良を炭小屋のなかから引出して
四十七人は
君の仇
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