のやうに
「身を守ることに限りはなし」だ
元気を出しなよ、
そして僕と情死《しんじゆう》しよう。
川端康成[#「川端康成」はゴチック]のエゴイズムが辛うじて
彼に小説を綴らしてゐる
一人よがりの理解をふりかざして
踊り子と読者を追ひ廻す。
広津和郎[#「広津和郎」はゴチック]は人生の攻め方を忘れさうだが
文壇の攻め方は忘れない
彼はよく引つ掛ける
論争の刺又《さすまた》をもつてゐる。
チャッカリ屋、吉屋信子[#「吉屋信子」はゴチック]
女だてらに原稿料の荒稼ぎ
河童の頭の皿に精々
注いで貰ひな
黄金の水を――。
岡田三郎[#「岡田三郎」はゴチック]は端麗な顔すぎた
人生とは君のやうに顔立の揃つたものではない
桁をはずして好漢暴れろ。
徳田一穂[#「徳田一穂」はゴチック]は親父秋声の子だ
作品的にもイデオロギー的にも
残念ながら親孝行すぎる
反逆の子でなければ吾が友ではない。
気の利いたことを言ふ点と
判らないことを判つたふりをする点で随一
文学のダニ芹沢光治良[#「芹沢光治良」はゴチック]。
中原中也[#「中原中也」はゴチック]は書くものより
名前の方がずつと詩的だ
そつと尻をさするや
前へ 次へ
全32ページ中20ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
小熊 秀雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング