れない。
亀井勝一郎[#「亀井勝一郎」はゴチック]は不安の精神を詰めこむ安楽椅子《ソファー》造りになつた。
岸田国士[#「岸田国士」はゴチック]、彼は悔いを招くために諷刺小説を書いた。
短兵急に生きてゐる中野重治[#「中野重治」はゴチック]
思ひつきでなくジックリと懐ろから
取り出したやうな大きな作品を見せて頂戴
引掻く貴女の爪は血を流すが
掻かれた相手はカユイ許りだ
可愛いといふよりもカユイ人板垣直子[#「板垣直子」はゴチック]よ。
尾崎士郎[#「尾崎士郎」はゴチック]、彼の作品は良かれ悪しかれ
これまでは小説に箸のつけ方を知つてゐたがこれから先のことはわからない。
評論をやることで文化人で――、
消費組合の土台をヱンヤラヤット
打ち込む手伝ひをすることで階級人である
新居格[#「新居格」はゴチック]は河馬のやうな格好で
人生をはにかんでゐる。
丹羽文雄[#「丹羽文雄」はゴチック]は新しい道徳をつくる力もない
通俗から這ひあがれない蛾
頭が軽くて、尻が重いところだらう。
中河与一[#「中河与一」はゴチック]は、波の上でいつも
扇のカナメをねらつてゐる
波も動かず扇も動かねば
もつとよ
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