[#「井伏鱒二」はゴチック]は感傷と愚痴でできてゐる。
深田久弥[#「深田久弥」はゴチック]は朗吟調の人生をもつてゐる。
そして彼はなかなか作文家だ。
あなたの小説は嫌ひだが
眼は好きです円地文子[#「円地文子」はゴチック]よ
だが惚れることは差控へよう
あなたは散文的に恋愛をするさうだから。
細々とした文章の長さの中で
眼だけ光らしてゐる小林秀雄[#「小林秀雄」はゴチック]よ
呪はれろ、死んでしまへ、深刻好きな君が地獄行の終電車に乗り遅れた格好だ。
若いジャックナイフが血を流してゐる時
近松秋江[#「近松秋江」はゴチック]は紙切ナイフで過去の頁を切つてゐる。
どうだ一米突先の人生が見えるか
君の眼玉はいつもコペルニクス的に転廻してゐる和製ウナムノ、反対のための反対者、萩原朔太郎[#「萩原朔太郎」はゴチック]。
不吉な哲学は、よく笑ふ黒い鳥を生んだ
それが三好十郎[#「三好十郎」はゴチック]、君なのだ、
もつと健康で衛生上よろしい喜劇を書いてくれ。
張赫宙[#「張赫宙」はゴチック]は朝鮮にハイチャをして
東京で文学の峠をのぼりだした
ズルズルとすべる文体に警戒し給へ。
小さな真実を大き
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