かう、
根気よく、
長い間かゝつて
私自身の階級を説明してゆかう
あゝ、私はやつとの思ひで
生活は疲れてはゐるが、
生活から倦怠だけは
追つ払つてしまふことができた、
それはすばらしい事業であつた、
仕事はいま始まつた許りだし
労働者を啓蒙するなどといふ
大それた自惚を私はもつてゐない、
労働者にむかつて
話しかけるとき
もつとも臆病に細心になる、
そして彼はまるで私と反対だ、
彼は労働者にむかつて
自分の立場を説明し切らずに
威猛高に階級のことを説得しようとする、
思想のチグハグな人間は
一方の肩を
きまつてそびえさせるものだ、
私にとつては
平原のかなたから
嵐のやうな幸福や自信が
襲つて来るのを待つてはゐない、
襲つてくるもの――、
それは嵐のやうな
はげしい自己反省である。
子供のやうに歌ふ
私は最大にわが儘に歌つてゆかう、
人々はみんな我儘をしたいのだから
私はその見本帳をつくつてゆかう、
批評家は私の我儘に
やきもちを焼いたらいゝ、
私が失策したとき
私が没落したとき
オーケストラは一斉に鳴れよ、
私は人喰人種から
一足とびにプロレタリアートになつたやうに、
私はあら
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