厳粛さと
青年の勇気は
なんと新しい時代の
蠱惑的な美しさをもつて
相手に肉迫してゐることだらう
青年よ、
我々は環視の只中にある、
あらゆるものに見守られてゐる。
熱心に祈りの叫びをあげながら
現実のつらさに
眼を掩つてゐる君の老いたる父や母にも――
吐息を立てゝゐる兄や妹にも――、
これらの身近なものは君を守る
だがとほくのものは
ただおど/\としてゐる許りだ。
信じたらよい、
君は夢の中の物語りをも――。
君のみる夢のなんと喜びに
みちた感動の彩りをもつものよ、
我々は知つてゐる
青年は青年の夢が
どのやうな性質の
ものであるかといふことを、
ふるへよ、
君の肉体を、
護れ、
君の感情を
そして君は入つてゆけ
もつとも旋律的な場所へ、
老いたるものにとつては
苦痛の世界であるが
我々青年にとつては
感動の世界で、ある処へ。


悪批評に答へて

卑怯な男に光栄な日が何日続くだらう、
彼の批評は一つの作品に
面とむかつてムンヅと組みついてくることをしない、
小股すくひや、後からの組みつき
あるひは通り魔のやうに
作品の上を横切つて
聞きとりがたい声で何やらつぶやいて通る
私の二百行
前へ 次へ
全47ページ中39ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
小熊 秀雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング