製品の
裏表をかへしてよつく吟味し給へ、
かなしみ給ふな詩人たちよ、
当分は女の子の
崇拝の的ともなれるだらうから、
巨大な建物を威張つて通るさ、
老いては駑馬にすぎざる詩人も
尚且つ詩人といふ
門鑑を手放さない、
我々プロレタリア詩人は
君たち詩人を
断崖まで送つてゆかう、
我々は永久に君の背後を去らない、
親しい友情をもつてゐる、
それは送り狼としての友情を――。
柔らかい肉を
友よ、料理人よ、
近頃君の心の中の、暴君が、
どんな風につぶやいてゐるのか、
私はそれがききたいね、
それとも君は、君の心の中には、
なんにもぱちぱちハネるものが、
ないとでもいふのか、
君の心臓がさ、
君のフライパンがさ、
こんなに激しい油と火の中に住んでゐるのにさ、
君は経営者か、
そうぢやない使用人ぢやないか、
主人のものは、どんどん浪費すべきだよ、
炭をけちけちしてゐては、
いゝ料理ができつこないぢやないか、
私のコックは、とつくに腹を立てゝしまつたよ、
現実とは――、なんと油がふんだんにあり、
炭がふんだんにあるところだらうね、
だから我々料理人は、
今が大いに腕を示すべきときだよ、
何時
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