この必然性の前には自信をもつことができる、
女たちのために
プロレタリアの色男を気取ることもできる、
私は君のやうに肉の中から
精神を叫びだしてはゐない、
私はそれがとても怖いのだ、
君のやうに肉とズボンのポケットに
君の精神をあつちへ入れたり、こつちへ入れたり
してゐる間に、精神をなくしてしまふやうなことが怖いのだ。
マヤコオフスキイよ
君は我々後進者の教師だ、
生きてゐるものにとつて
君の自殺は昨日の出来事だつた
私は昨日の出来事を見落さない
私にとつてもソビヱットにとつても
世界のプロレタリアにとつて
君やヱセーニンはルビだ註釈だ、
そして我々の辞書は豊富になつた、
自殺といふ頁を繰るとすぐ君等がでゝくる。
その意味でも君の死は、
プロレタリア的死は
無数のタワリシチの死と共に意義深い、
死ぬほどに苦しんだ君よ、
マヤコオフスキイよ、
君は
『日の牡牛はまだら
年の荷馬車《アルパー》はのろい――』と
立派に歌つてゐたのにかかはらず
情熱は手綱をきり馬を突離してしまつた君よ、
私は君のやうな自殺はできない
死よりも、生きる責任の強さのために、
よし、たとひその生が
死よりも惨
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