こして、
君は労働者のための詩人であつたが、
労働者の悪い部分を
のゝしる力がなかつたのは惜しい、
もう私達の人生に対する考へ方は
不平や、憎悪に水を加へることによつて
薄められはしようが、
決してなくなりはしないだらう、
君はソビヱットを讃へた
決して楯つきはしなかつた
だが君は自分の生を否定した、
君は君の肉体の中のソビヱットを
否定してしまつたことはどうしたわけだ、
註釈なしの辞書なんてこの世に
あるとは私はかんがへられないんだ、
無条件な愛するソビヱットなどといふものはない
可哀さうなマヤコオフスキイよ、
人間は自分に註釈かルビが
つかなくなつたとき
自殺をするんぢやないだらうか、
君は批判の詩をつくつた
――そこでは肉の中から怒りだすのか
それともズボンの中の雲のやうに
罪もなくおとなしくしてゐると
どつちが好きだと君は民衆に訴へてゐた、
真実君は肉の中から怒りだして歌つた、
民衆や歴史が
まだ君の問題に答案をかゝない間に
マヤコオフスキイよ、
君の純情よ、
そのやうな純情であれば
私もまた君と同じやうに自殺したいのだ、
私は歴史の前に頭を下げる、
私は苦しいが、
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