中にとびこんでゐるのか、
すべては、すべては、
向うさまの御意のまゝである、
あゝ、そして私の生活は
一度にカッと歓喜と苦痛とに
細胞は新しくなる、
歴史は井戸換へを要求した、
私は素直に服従した
いまでは新しい思索の水が
あふれ出る、
そして今では
をそろしく咀嚼のよい胃の腑と
乱雑な労働に堪える心臓をもつてゐる
享楽も、そぞろあるきも
あらゆる真面目、不真面目な
生活上の事件で
有用でないものは一つもない
皿の上のものはみんな喰つてしまふ
貪慾極まりない、
みんな血となり肉となる
労働の肉体では
いま新しい細胞が
散兵線を敷いてゐる。
甘い梨の詩
真夜中の人々の
寝息はきこえない
何処かで深い穴の上げ蓋をあげ
そこに一人の男が引き入れられるやうに、
私はともすれば夜のしづけさに私自身ひき入れられさうだ
私はほんとうに
このやうな時間に
このやうな態度で敵にむかつての反逆の詩をつくる、
そのことを嬉しいことと思ふ、
私の仕事のために
誰か私を支持してくれるだらう。
私は読者に注文を発しない、
私はどつちかの岸に立つてゐる
その岸の方の人々が私を祝つてくれるだらう。
それから先
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