小熊秀雄全集
―3―
詩集2 中期詩篇
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[表記について]
●ルビは「漢字《ルビ》」の形式で処理した。
●二倍の踊り字(くの字形の繰り返し記号)は「/\」「/゛\」で代用した。
●[#]は、入力者注を示す。
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●目次
謀叛|スパイは幾万ありとても|山雀の歌|失恋|低気圧へ|母親は息子の手を|代表送別の詩|才能を与へ給へ|散兵線|甘い梨の詩|マヤコオフスキイの舌にかはつて|新らしい青年へ|現実の砥石|慾望の波|善良の頭目として|高い所から|闘牛師|シェストフ的麦酒|それぞれ役あり|真人間らしく|相撲協会|この世に静かな林などはない|今月今夜の月|古城|僕は憤怒に憑かれてゐる|俺達の消費組合|甘やかされてゐる新進作家
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謀叛
 ――旭川の詩人達に贈る――

順鹿《となかい》の角をピシ/\打ちながら
氷の波の上を橇に乗つてやつてきた小さな集団を見た。
到る処に太陽の道はあるのだ
なにが真理で、何が真理でないとは言へないのだ。
自分の足音に驚ろきながら
自分の舞ひ立てる埃で顔を真黒くしながら
そつと掘鑿《くつさく》をしてゐる少数の者がゐる
私と君等はひそかに斯うして謀叛をしてゐる
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