ぼ》る燃ゆるガスを集め[#「ガスを集め」に傍点]、パヅアに一日、ヴェニスに三日を費し、ボログナを通ってフローレンスに行き、ここに止まって前に集めたガスを分析し[#「分析し」に傍点]、十一月の初めには再びローマに戻って来た。
 ファラデーは一・二度母親にも妹にも手紙[#「手紙」に傍点]を送り、また王立協会の前途を案じてはアボットに手紙を送り、「もし事変の起るようなことでもあったら、そこに置いてある自分の書籍を忘れずに取り出してくれ。これらの書籍は旧に倍しても珍重するから」と書いてやった。また自分の属する教会の長老には寺院のお祭りや謝肉祭の光景、コロシウムの廃跡等をくわしく書きおくり、若い友人にはフランス語の学び方を述べた手紙を送ったりした。
 この頃のファラデーの日記を見ると、謝肉祭[#「謝肉祭」に傍点]の事がたくさんかいてある。その馬鹿騒ぎが非常に気に入ったらしく、昼はコルソにて競馬を見、夕には仮面舞踏会に四回までも出かけ、しかも最後の時には、女の寝巻に鳥打帽[#「女の寝巻に鳥打帽」に傍点]という扮装で押し出した。
 サー・デビーは、それからギリシャ、トルコの方面までも旅行したい希望で
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