。ファラデーはその通りにして熱して見たら、ガラス管の内には、液体が二つ出来た。一つは澄んで水のような物で無色である。他は油のような物であった。デビーの友人のパリスという人が丁度このとき実験室に来合せて、それを見て戯談半分に、「油のついている管を使ったからだ。」と言った。
 すぐあとで[#「すぐあとで」は底本では「すぐ あとで」]ファラデーが管を擦《こす》ったら、破れて口が開いたが、油のような液は見えなくなって[#「見えなくなって」に傍点]しまった。これは前にガラス管を熱したとき、塩素のガスが出たが自己の圧力が強かったため、液化してしまい[#「液化してしまい」に傍点]、油のようになっていたのだ。ところが、今管に口が開いて圧力が減じたので、再びもとの塩素ガスに[#「もとの塩素ガスに」に傍点]なって、飛散してしまったのである。
 翌朝パリスはファラデーから次の簡単明瞭な手紙を受け取った。
「貴殿が昨日油だと言われし物は、液体の塩素に相成り申候。 ファラデー」
 かく、自己の圧力を使うて液体にする方法は、その後デビーが塩酸に用いて成功[#「成功」に傍点]し、ファラデーもまたその他のガス体を液化
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