りせいてき》な乾燥無味《かんさうむみ》なものであつて、情的《ぜうてき》な餘韻《よいん》を含《ふく》んで居《ゐ》ない。隨《したが》つて少《すこ》しも面白味《おもしろみ》が無《な》い。故《ゆゑ》に文運《ぶんうん》が發達《はつたつ》して來《く》ると、自然《しぜん》化物《ばけもの》は無《な》くなつて來《く》る。文化《ぶんくわ》が發達《はつたつ》して來《く》れば、自然《しぜん》何處《どこ》か漠然《ばくぜん》として稚氣《ちき》を帶《お》びて居《ゐ》るやうな面白《おもしろ》い化物思想《ばけものしさう》などを容《い》れる餘地《よち》が無《な》くなつて來《く》るのである。
       三 化物の分類
 以上《いじやう》で大體《だいたい》化物《ばけもの》の概論《がいろん》を述《の》べたのであるが、之《これ》を分類《ぶんるゐ》して見《み》るとどうなるか。之《これ》は甚《はなは》だ六ヶしい問題《もんだい》であつて、見方《みかた》により各《おの/\》異《ことな》る譯《わけ》である。先《ま》づ差當《さしあた》り種類《しゆるゐ》の上《うへ》からの分類《ぶんるゐ》を述《の》べると、
(一)神佛《しんぶつ》(正體《し
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