で學術を研究するものは隨分あつたが、講義をするといふはピタゴラスが初めてである、而して此の團體に於ては身體と精神との修養を基とするもので普通五年の年限を定めた、此に一つ不思議な事がある、即ち彼等五年の間は沈默を守るといふ事が法則になつて居つて、五年の修養の時代は己を修むる時代であるから、人に向つて講説するといふやうな事が出來ないのである、尚不思議な事はピタゴラス自身が常に白衣を着て居つた、是れは當時の希臘人には例のないことである、又食事の時には麺包と水とを食ひ、酒は一切飮む事を禁じてある、夫から又肉も食はない全く蔬食である、モウ一つ面白い事は蠶豆を食ふ事が出來ない、さういふ不思議な團體を作つたのであります、所がこの團體は後世中々有力なものとなつて伊太利、希臘の間に於ては政治上にこそ關係せぬが總ての社會上の事柄に於ては大なる勢力を持つて居つたものである、近來の研究に依るとピタゴラスの説或はピタゴラス團體の學則等に於ては、どうしても印度から得來つた所があるに相違ないといふ事が判つて來たのである、第一にピタゴラスの唱へて居る不思議な事は輪廻の説である、先日もいつたが印度では古くから輪廻といふ
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