詠じたので、全く印度の思想から出來たものである、以上論ずる所に據つて之を見ると西洋に於ても東洋に於ても、古代にあつても將た近代にあつても、印度の文學は實に大切なる地位を世界の文學の上に有するものと言はなければならぬ、從つて又直接若くは間接に東西の人心を支配したことも決して少からぬと考へる、文學の事は先づ是れだけにしておいて、次には哲學に就き少しくお話致したいと思ひます。
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今日は印度の哲學と宗教とが世界に及ぼした影響に就き、極大體の事を御話して置きたいと思ひます。
哲學を御研究なさつた御方は大體御存知であらうが、紀元前五百年の中程に生れた學者で有名な希臘の哲學者ピタゴラスといふ人がある、是れは釋迦と殆んど同時代の人である、この人は諸方へ旅行をした人で希臘人でありますが、小亞細亞、埃及にも行つて居り、或は波斯を經て印度まで旅行をしたといふ説もあります、この人は餘程不思議な所謂ピタゴラス團體なるものを作つた、この團體は今から申しますると一寸學校の樣な或は塾のやうなものでありまして、一定の年限の間澤山の弟子が諸方より集まり來つて先生の下に修業する、希臘ではこの時代まで個人々々
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