を待っていたのである。
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前途は暗く、胸の塞がる時、幾度となく私は迷ったり蹉いたりした。私の歩んだ道がどんなに寂しい時でも、私は自分の出発した時と同じように生を肯定しようとする心に帰って行った。
[#ここで字下げ終わり]
[#地付き]──藤村『春を待ちつつ』──
どうやら私には、このようにして待ちこがれた春が訪れようとして、光がやわらかに私のからだにさしはじめたような気がする。だが私の愛する教育の世界、それにもましていとおしむ子どもたちの世界にはいつになったら春が訪れることであろうか。
私は白いチョークを握って、すばらしい軽い音を黒板にひびかせながら、子どもと向かい合っている幻想のなかにいてほほえましくなるのである。
[#地から2字上げ]二十二年 新しい年を迎えて
底本:「村山俊太郎著作集 第三巻」百合出版
1968年(昭和43)4月5日第1版第1刷発行
入力:しだひろし
校正:土屋隆
2010年2月16日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られま
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