未知の人間に転嫁させようという目的のトリックなのですね。……いうまでもなく、〈通知〉を出した告知人がすなわち絲満を殺した犯人なのですが、そういう場合、その人物は、かならず、その現場へやって来てるものなのです。効果の程度を知っておくことが絶対に必要だからです。……だから、犯人はあの朝〈那覇〉へ集った五人のうちのだれかだと言えるのです」
「犯人が必ずそこに来合しているという……それは当為《ソルレン》です。必ずそうあるべきことでしょう。しかしそれはそれとして、事件を複雑にして捜査の方針を混乱させる目的だと言われましたが、私に言わせれば、このトリックは、反対の効をあげるためにしか役立たぬように思われるのです。混乱させるどころか、犯人はここにいると、自分で知らしてるようなものです。……なぜといえば、そういう場合、犯人がそこへ来合しているだろうということは、だれにしたってすぐ考えられることですからね。……知能的な初犯者ほど、いろいろ手のこんだ方法を考え出すものですが、しかし、どういう場合でも、あらかじめ考案された方法というものは、柔軟性を欠くか、なにかしら過剰なものを持つか、この二つの欠点をまぬか
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