顎十郎捕物帳
かごやの客
久生十蘭
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)無銭飲《ただのみ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)繩|暖簾《のれん》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)久生十蘭全集 4[#「4」はローマ数字、1−13−24]
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お姫様
「なんだ、なんだ、てめえら。……客か、物貰いか、無銭飲《ただのみ》か。ただしは、景気をつけに来たのか。店構えがあまり豪勢なんで、びっくりしたような面をしていやがる。……やいやい、入るなら入れ、そんなところに突っ立ってると風通しが悪いや」
繩|暖簾《のれん》をくぐったところをズブ六になった中間体が無暗にポンポンいうのを、亭主がおさえておいて、取ってつけたような揉手《もみで》。
「おいでなさいまし。お駕籠屋さんとお見うけしましたが、景気をつけに来てくださいましてありがとうございます。……酒は灘《なだ》の都菊《みやこぎく》、産地《もと》仕入れでございますから量はたっぷりいたします。な
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