時
同 廿一日 午前十時四十八分
同 廿二日 午前十一時三十六分
同 廿三日 午後零時二十四分
[#ここで字下げ終わり]
キャラコさんが、ちょっと、考えてから、
「この時間表で見ると、ローリーさんは、毎日、正確に満潮の頂点で海に飛び込んでいることになるのね」
そして、鮎子さんに、
「お父さまに、すぐ、こちらへ来ていただけないかしら」
といった。心配な時にする、れいの、むずかしい顔をしていた。
ゆうがた、鮎子さんのお父さんの松永氏が、別荘へやって来た。
四人の調査の結果を聴き終わると、瞬間、たいへん緊張した顔つきになったが、すぐ、顔をひきほぐして、
「なるほど! 諸君は、ブラブラ遊んでいたわけではなかったんだね。……なかなか大したもんだぞ、これは」
そういって、あとはなんでもない他の話に紛らわしてしまった。
二人の外国人が、ローリーさんを媒体にして、相模《さがみ》湾の湾流の調査をしていたのだった。
ローリーさんの身体の重さは、ちゃんと計量されてあるので、ローリーさんが泳ぐ速度に係数《コエフイシアント》を掛け合わせると、満潮時の潮流の速度と日々《にちにち》の変化がわかる
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