スしは、フランス人ではない」
 キャラコさんは、聞いていられなくなって、椅子から立ちあがって、窓のそばまで逃げ出した。レエヌさんは、ああ、と深い、長い、ため息をついて、
「……日本のキモノを着ても日本人ではない。フランス語で話してもフランス人ではない。……このやるせなさを誰れも知らない。誰れも、察してはくれない。……気がちがわないのはまだしものことだったわ。……もう、どうなったってかまわない。なにか心の痺《しび》れるような出鱈目でもやらなければ、呼吸《いき》がつまりそうだ。……ねえ、お兄さん、キャラコさんに、そういってやって、ちょうだい。……お金なんか欲しいんじゃないんだ、って。あたしたち兄妹は、せめてこんなことでもしなければ生きてゆかれないんです、ってね」
 とつぜん、嗚咽《おえつ》にむせびながら、
「キャラコさんなら、察してくれると思った。……あんないいひとですもの。きっとわかってくれると思った。……でも、キャラコさんも、やっぱり知ってくれなかった。……お兄さん、お兄さん、……キャラコさんは、あたしに、あやまれといいました。……あやまらなければ、ここを動かさない、って。……ああ、あ
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