トあるの。……さっきの手紙よりも委曲《いきょく》をつくしているつもりよ」
 枕の下から一通の角封筒をとりだすと、それを頭の上に振って見せた。
「ほら、ほら、これが、そうなの」
 キャラコさんの肚《はら》の底から、生理的不快に似たものがこみあげて来た。
 レエヌは、調子をはずした陽気な声で、
「……あたし、むかしからあなたを嫌いだったのよ。どこもここも模範だらけのあなたが憎らしくてしようがなかったの。いつか、やっつけてやろうと思って隙をねらっていたんだ。……ねえ、キャラコさん、あなたのように、お腹《なか》の中にいるときから、幸福《しあわせ》づくめのひともあるし、あたしたちのように、泥の中をはいずり廻っているような、こんなみじめな兄妹もあります。それに、こんどは、たいへんな財産を相続なすったそうで、お目出とう。……どこまでうまくゆくか知れないわね。……それで、すこしお裾《すそ》わけしていただこうと思って考え出したことなの。……あたしたちのような憐《あわ》れな兄妹の思いつきそうなことでしょう」
 キャラコさんが、しずかに訊《き》きかえした。
「もし、あたしが、いやだといったら?」
 レエヌは
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