まだけど、あなた、このごろ役所に勤めているんだって? モデルなんかよりそのほうがマトモよ。暇もないだろうが、気がむいたら、遊びにくるといいわ」
「夏にでもなったら、また、お留守番にあがりますわ」
 秋川がサト子を有江老人に紹介した。
「お孫さんのサト子さんです」
 サト子がそばへ行っておじぎをした。
「いつか、電報をいただきましたが、ご承知のようなわけで、お目にかかれなくて……」
 有江老人は、わかってるわかってると、うるさそうにうなずくと、モジャモジャの毛虫眉の下から落窪んだ小さな目を光らせながら、
「ファザーもマザーも亡くなって、ひとりでいるそうだな。ユウに属する権利は、全力をあげて保護してやるから安心しなさい」
 と浪花節調の裏枯声で言った。
 生地はいいが、一世紀前の型の服を着ている。網代《あじろ》に皺のはいった因業な顔も、憎体なものの言いかたも、ひどく日本人離れがしているので、『クリスマス・カロル』にでてくる、憎まれもののおやじを思いだして笑いたくなった。
 坂田はトックリ・セーターにジャンパーという、牛車で野菜を売りにくる、いつもの無造作な装で、大きなドタ靴をバタバタさせな
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