だされかけたゴタゴタのあと、麻布の家の夢のような贅沢な生活からほうりだされてから、地道な職業につきたい思いで、鉱山保安局にいる叔父のところへあらためて就職の依頼に行ったら、あっさりと川崎の鉱山調査研究所の雇員にしてくれた。叔父の紹介だとばかり思っていたが、こんなところにも、秋川の陰の力が働いていたのらしい。
「あなたのお話を伺っていると、あたしは将棋の歩《ふ》で、上手な将棋差しの手にかかって、いいように動かされているみたい」
 秋川は笑いながら、
「ウラニウムという化物の正体を、いくらかでも見きわめておくのは、あなたとしても、必要なことだと思ったから……これは、坂田君の意見ででもあるのですが」
 坂田という名がサト子の耳に逆らった。
「坂田って、いったい、どういうひとなんでしょう? 西荻窪の植木屋の前で牛車をとめて、縁に腰をかけて稗搗節をうたったりするので、素朴ないい青年だと思っていたのですが、日米タイムスには、水上の遺産を横領した山師だ、なんて書いてありましたね……遺産のことはもちろん、お祖父さんがシアトルで死んだことさえ、長いあいだ、ただのひと言も、口からだしませんでしたわ」
「い
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