た」
 その口なら、まあ悪くない。それにしても、メードたちはすこししゃべりすぎるようだ。自分だったらこんな躾《しつけ》はしない。給仕は男のほうがいいかもしれない。食堂も、こんなふうに広すぎるのは落着きがない……
 食堂の平面図がつぎつぎに目にうかぶ……一方をガラス壁にし、新芸術派のチューブの家具を、巧まぬ粋を見せてあちらこちらに配置したところで、長いコードをひきずりながら、メードが電話器を運んできた。
「もしもし、サト子さん?」
 山岸芳夫の姉のカオルだった。
「しばアらく……ここにいること、よくわかったわね」
「そこへ連れて行ったのは芳夫なんでしょ? わからないわけ、ないじゃないの」
「なにかご用でした?」
「お聞きしたいことがあって……」
 そこで声が途切れた。
「神月……ゆうべ自殺したのよ、ヴェロナールを飲んで……あのバカおやじ、頬紅なんかつけて、お化粧をして死んでたわ」
「思いもかけなかったわ。この間、お目にかかったばかりなのに……」
「あなたがお悔みをいうことはないでしょう」
「あたしだって、神月さん、好きだったのよ」
「ありがとう……神月はあたしの父だったの。最近、わかった
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