それでも困る。こんなことをしていると、肥るばかりだ。おっくうだが、すこしは運動をしなくてはなるまい。それで、やっと気持がきまった。
「きょうは、食堂へ行きます」
広大もない衣装戸棚に一着だけ吊ってある一帳羅のカクテル・ドレスに着かえると、サト子は朽葉色の絨毯《じゅうたん》を敷いた長い歩廊を、本館の食堂のあるほうへ行った。「歩き方コンテスト」の賞品にもらったカクテル・ドレスの裾をひらひらさせ、気取ったポーズで長い廊下を歩いて行く。ファッション・ショウのステージでステップするときのような愛嬌は、みじんもない。映画に出てくる伯爵夫人のように、高慢につんとすましている。
「見ているひとなんかいないのに……あたしって、なんてバカなんだろう」
くだらないと思ってはいるのだが、こういう環境にはまりこんでから、急に気位が高くなったみたいで、メードたちの前へ出ると、われともなくこんなポーズをとってしまう。
「やれやれだわ」
趣味のいい家具を置いた明るいサロンを二つ通りぬけると、その奥に食堂がある。
むやみに天井の高い広々したホールで、ゆっくり四十人はすわれようという長い食卓の端に、一人前の食器が
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