く窮屈なものになるでしょう。それはもうわかっている。ぼくが結婚する相手は、あなたより二ポイントほど下った、平凡な女で結構です……ともかく、ぼくには保護感情みたいなものがあって、しきりにたれかに奉仕したがっているらしい。いまのところ、それがあなただというだけのことなんだから、誤解のないようにねがいたいです」
車は青山一丁目のあたりを走っている。芳夫は脇窓から町並をながめながら、
「笄町《こうがいちょう》へやってくれ」
と運転手に言った。
「よけいなことを言うなよ」
芳夫が運転手を叱りつけると、車は急に勢いづいて、墓地の間の道を麻布の高台のほうへ走りだした。
「いま、家をお目にかけますが、ほかに、なにかお望みがありますか」
「仕事の口が二つあったんだけど、どちらもうまくいきそうもないの。あなたがアラディンのランプを持っているなら、明日からでもすぐ働けるところと、前渡金をすこしもらえるようにしていただきたいもんですね」
芳夫は脇にひきつけていたPAAの空色の飛行鞄《エア・バッグ》のジッパーをあけて、中のものを見せた。サト子がのぞきこんでみると、緑色をした外国の紙幣らしいものが束になっ
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