いただきました……水上氏は、昨年の春、シアトルでお亡くなりになったのだそうですね」
とんでもないこったと思いながら、サト子は、つよく首を振った。
「祖父は元気でおります。秘書みたいなひとが、この七日に、氷川丸で横浜に着くことになっていますが、あちらの話が聞けるので、たのしみにしていますの」
秋川は固い表情になって、サト子の顔を見返していたが、はっと気がついたように、
「これはどうも失礼……なにかの誤伝だったのでしょうな……それはそれは、さぞ、お待遠なこってしょう」
おだやかに笑い流すと、調子をかえて、
「あなたは中村君をごぞんじなんだそうですね。つい、いましがた帰りましたが、あなたの噂をしていました。まだ、お小さかったころの話などを……」
「このごろ、よくお逢いしますが、知り合いというほどの知り合いでもありません。どうして、あたしの子供のときのことなんか、知っているのかしら」
「中村君は、いぜん飯島に住んでいましたから、ごぞんじのはずなんですが」
そう言われれば、遠いむかしの記憶の中に、中村に似た、いかつい顔があったような気がするが、はっきりと思いだせない。
「そうだったかしら
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