はしゃいだ笑い声をたてた。
「お伺いしたいんですけど、きょうは、ちょっと困るのよ」
 そう言ってから、中村に、
「中村さん、こんにちは……みょうなところでばかり、お目にかかるわね」
 と挨拶すると、中村は、いつもの無表情な顔で、やあと渋辛《しぶから》い声をだした。
 中村が秋川に逢っているとは、思いもしなかった。いつかの飯島のさわぎを、むしかえしているのでないかと、そっと愛一郎の顔をみてみたが、はずんだような表情があるばかりで、そんなけわしいやりとりがあったようには見えなかった。
「あなたも、秋川さんに?」
「いいえ、そうじゃないのよ……きょうは、ちょっとほかに……」
 中村は、うごかぬ眼差しでサト子の顔を見てから、ああ、と不得要領にうなずいた。
「いま、秋川さんと、あなたの話をしていたところだったんだ」
「あら、どんな話?」
「それは、まあ、いろいろ……急ぐから、きょうは、これで失礼……このところ、警視庁の防犯課というところにいますから、用があったら電話をかけてください」
 クロークでコートを受けとると、袖に手をとおしながら、そそくさと回転ドアを押して出て行った。
「きょうは、パパに
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