らしいが、西ドイツからグラス・ファイバーを輸入している会社が、おなじころ、大仕掛けな宣伝をはじめるので、素質のいいモデルがあちらこちらでとりあいになっている、というようなことだった。
「グラス・ファイバーのほうは、山岸カオルというひとがマネージしているんだそうだけど、あなたのほうにも、なにか話があったでしょう」
あったと言えばいいのか、なかったと言えばいいのか、とっさに判断しかねたが、なにも、いちいち本当のことを言う必要がないと思って、どちらともとれるような返事をしておいた。
天城は、ファイルから和文と英文の契約書を二通とりだすと、英文のほうを手もとにとめ、邦文タイプで打ったほうをサト子の鼻先につきつけた。
契約書には、六十日の契約で、ギャラの日立《ひだて》は、内地が三千円。外地は、ほかに、一日、二千円の外地手当のようなものがつき、交通、宿泊、アクセサリー、靴、すべて会社持ち……往復とも旅客機で、契約と同時に、三万円前渡しすると書いてあった。
「どお? グラス・ファイバーより、条件がいいでしょう?」
そう言うと、奥の三人のほうへ振り返って、
「あのひとたちも、むこうを蹴って、こ
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