らいのことで、そんなに力を落すことはないでしょう。水上さんが帰っていらっしゃらないから、こっちから会いに行く、というような気にはなれないの?……さっきお話ししたファッション・ショウは、シスコを経由するはずだけど、旅客機でなら、シアトルまで、わずかの時間で行けるのよ。並木通りの『アラミス』というレストラン、ごぞんじ? モデル・クラブの事務所の近く……」
「ええ、知っているわ」
「二時ぐらいに、そこでプロデューサーに会って、いろいろ聞いてごらんになるといいわ」
「プロデューサー、なんという方なの」

「おぼえていらっしゃるでしょ。飯島に別荘をもっていた神月伊佐吉……」
 サト子は、われともなく筒ぬけた声をだした。
「あの神月さん?」
 あの夜、扇ヶ谷の谷戸の上で、カオルは山岸の子でなく、神月の子だという深刻な告白をきいて、ひとごとながら強いショックを受けた。そのときのおどろきが、まざまざと心によみがえってきた。
 カオルと芳夫ぐらい、似たところのない姉弟もないものだと、そう思い思いしたが、疑問をおこすだけのことは、たしかにあったのだ。そういう思いで、それとなくカオルの横顔をうかがっていると
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