聞きすましているふうだったが、そのうちに、ドスドスと乱暴にドアを蹴りつけた。シヅは、そっと戸口のほうへ行って、頃合《ころあい》をはかりながら、だしぬけにドアをあけた。
 なりわいの渋味も辛味も味わいつくした、ひと目でショウバイニンと知れる、若いような老けたような女が二人、不意をくって部屋のなかへよろけこんでくると、たがいの様子がおかしいというので、男のような声でゲラゲラ笑った。
 どちらも、裾まである赤鉛筆色《レッド・レッド》のコートを着ている。それを脱げば、下は喧嘩の身支度になっていることは、胸あきからトックリ・スェーターの衿が見えているのでもわかる。いい加減に笑って、笑いおさめると、目のキョロリとした、ムジナのおばあさんのような顔をした女が、
「なにさ、ひとの鼻先で、いきなりドアをあけたりして……むかしの仲間だ。もうすこし、やさしく扱ってくれよ」
 もうひとりの、ずんぐりむっくりの猪首《いくび》の女は、戸口に立ちはだかって、部屋のなかを見まわしながら、
「ここは、いぜん、おれの巣だった部屋だぜ。やはり、器用に足は洗えないもんだとみえるな……モデルは看板で、ジャッキーをくわえこむのが
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