て言っていられない……じゃ、これから、行ってみるわ」
 シヅは時計を見ると、椅子から飛びあがって、食器をバタバタと流しへ運びはじめた。
「おシヅちゃん、なんなの?」
「これから、ちょっとゴタゴタするのよ。茶碗ひとつ、おっ欠かれたって、損だからね」
 そういう間も手を休めず、サッサと部屋のなかを片付けると、テーブルや椅子を壁ぎわに積みあげた。サト子の掛けている椅子だけが、島のように一つ残った。
「だから、どうしたというのよ」
「あたしがファッション・モデルになったことが、嫉《や》けて嫉けて、しようがないもんだから、横須賀のむかしの仲間が、大勢でインネンをつけにくるんだ」
「なにになったって、あのひとたちに、関係のないことじゃありませんか」
「あいつらの世界に、そんな理窟、通らないのよ。無断で組を抜けたことを口実にして、仁義だのなんだのって脅かして、むかしのショウバイにひきもどそうというの」
 サト子は、立ちかけていた椅子に腰をおろした。
「くだらない。そんなひとたち、相手にすること、ないわ」
 シヅは衣装戸棚の前で、さっと服を脱ぐと、丸首シャツとスラックスの勇ましい姿になって、サト子のそ
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