は思っていなかったの……うれしい……あたし、もう、ひとりじゃないんだわ」
そのとき、聖路加病院の十時の時鐘が鳴った。シヅは、はっとしたように胸に手をあてた。
「あんたも、忙しくなるわね。ともかく、ご飯をすましちまいましょうよ」
そういうと、ひどくあわてて、ソソクサと飯をかっこみだした。サト子も茶碗をとりあげながら、
「はやく仕事をみつけて、せめて、お祖父さんの落着くところぐらい、こしらえておかなくちゃ……八日というと、あと一週間しかないから」
シヅは、箸の先に飯粒をためたまま、サト子の顔色をうかがうようにしながら、
「職安で仕事を捜す前に、もういちど、モデル・クラブの事務所へ行ってみたら?」
「でもねえ、モデルの仕事、気が重いのよ」
「それは、昨日も聞いたけどさ、あんたが考えているより、もっといい仕事がありそうな気がする。あたし、保証するわ」
そう言うと、下目になって、
「白状するけど、あんたを紹介してくれって、ビニロンのボスに、たのまれていたんだ」
と、哀願するような調子でつぶやいた。
「そうね、昨日までは、勝手なことを言っていたけど、もう、ひとりじゃないんだから、我儘なん
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