。心配なのは、むしろ秋川氏のほうです」
 由良は、びくっとして芳夫の顔を見た。
「秋川って、もと開発銀行のなにかをしていた、秋川良作のことなの?」
「あの秋川……細君が死んでから、ひっこんでいるけど、買う気になれば、十三億くらいの金は、どこからでも持ってくる。アメリカの原子力委員会が、折紙をつけたほど確かなものなら、どこへもやらずに、日本にとっておきたいと、たれにしたって、思うでしょうから」
 由良が溜息をついた。
「秋川までがねえ……それで、なにか、それらしいことがあるの?」
「この夏の終りに、秋川の親子が、サト子さんを扇ヶ谷の家へひっぱりこんで、ひと晩、泊めたという事実があるんです……このごろ、聞いた話だけど」
「その話、あなた、たれから聞いた?」
「姉から」
「カオルさん、秋川なんかのところへも、出かけて行くんですか」
「思いたつと、夜でも夜中でも、ひとりで車で出かけて行きます。誰も居ない空家へ、寝っころがりに行くんだ、なんていっていますが、裏になにがあるのか、たれも知らない」

  仮装人物

「きょうは、なにか、耳に痛いことばかり伺ったけど……」
 由良が、むっとしたように、
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