の車の男の顔を、見ておきなさい」
 四十五六のバイヤーらしい男が、脇窓に肱をかけた無造作なかっこうで、ハンドルを握っている。額が禿《は》げあがって、首のあたりが紅を塗ったように赤い。典型的なワシ鼻で、マックァーサーの顔に、どこか似ていた。
「見たら、そこの仕切りを叩いてください」
 言われたようにガラスの中仕切りを叩くと、それでスピードが落ちた。むこうの車は辷るように新橋のほうへ遠ざかって行った。
「あのひとは、なんなの?」
「あれは、ウィルソンという男です。横須賀の女たちは、ジャッキーといっているが、あの男が、あなたの身辺に立ちまわるようになったら、用心なさい」
「用心って、どうすることなの?」
「それは、あなたの判断で……私には職務の限界があって、これ以上の助力はできない。ウィルソンという男の顔を見せて、あいつは、あぶないと、注意してあげるくらいが、せいぜいのところだと思ってください」
 あとは、なにを聞いても返事をしないぞ、というような冷淡な顔で、ゆっくりと煙草に火をつけた。

  ウラニウム

 田村町の裏通りにある、『ジョン』というレストランの二階へ、サト子の叔母の由良ふみ子
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