察というところは、必要があれば、そんなことまで道具に使うものなの?」
「どんなことだって……そうすると、愛一郎は、コロリと落ちた。なにもかも、みなうちあけたよ」
「ひどいことをするのね」
 中村は、額を撫でながら、
「そういったものでもない……神月は、追放解除になってから、秋川の仕送りでカツカツにやっているが、むかしの夢を忘れきれない。もういちど大きく乗りだしたいと焦《あせ》っている……恵那《えな》のウラニウムの試掘の件で、秋川にまとまった金をだしてもらいたいのだが、神月は、秋川を恐れているので、じぶんでは、言いだせない」
 そう言うと、サト子に、
「あなたは、苗木のウラニウムのことは、聞いたでしょう?」
 と、だしぬけに、たずねかけた
「ウラニウムって、原子爆弾のウラニウムのこと?」
「まあ、そうです」
「いいえ、なにも」
 中村はうなずいて、
「知らなければ、知らないでもいい……それで、父親に絶対なる説得力をもっている愛一郎を、おどかした……」
 愛一郎が、神月から母の古い恋文をとりかえそうというのは、母の追福のためだと想像していたが、そんなロマンチックなことでもなかったらしい。

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