こを出れば、すむんでしょうけど、残されたあたしは、どうなる? キレイな生活をするという、気持のハリがなくなって、またもとのショウバイにズリさがることになるんだわア……おねがい。あたしを、ひとりにしないで」
サト子は、感動してシヅの手を握りしめた。
「あなたは、なんという、いいひとなんでしょう……ねえ、聞いてちょうだい。あたし、あなたに隠していることがあるの……あたし、仕事を捜しに行くといって、毎日、家を出るでしょう……でも、この一月ほどのあいだ、ぜんぜん仕事なんか捜していなかったのよ」
サト子の告白は、シヅにも意外だったらしく、
「あら、そうだったの……こんなに精をだして仕事を追いかけて、ひとつも口がないなんて、変だと思っていたわ」
「ないはずよ、捜さないんですもの……天気のいい日は、公園のベンチで、雨の日は、画廊で絵を見たり……」
シヅは、うれしそうに手を打ちあわした。
「いいわねえ……アクセク仕事を捜しまわるより、のんきにブラブラしていてくれるほうが、あたし、好きよ……もっとお金がはいるようになったら、あんたをほんとうのダンナサマにして、きれいな家で、贅沢《ぜいたく》をさせて
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