ゃないの」
「なんのことだか、ぼくには、わからない」
「ドライヴなんかやめて、家へ帰ろうと言ったら、それでも、渋々、車をかえしたけど、国道の分れ道で中村に会ったら、ハンドルを切って、こんなところへ逃げこんで」
「君が、ハンドルに手をかけて、無理にひんまげたからだ……おかげさまで、車のあたまがめちゃめちゃになってしまった」
「臆病なひとって、切羽詰ると思いきったことをするもんだわね……あたしがハンドルを切ったのは、あなたが中村に突っかけて、轢《ひ》き殺そうとしたからよ」
 愛一郎は、顔をあげてなにか言いかけたが、ものを言うのはムダだというように、がっくりと首をたれた。カオルは腕をまわして、愛一郎の肩を抱くようにしながら、
「あなた、なにか苦しんでいるのね。あたしにうちあけてくれる気はないの? あたしを、敵だなんて思わないで……あたしにできることだったら、どんなにでも、力になってあげますって……愛一郎さん、おこらないでね……あなたのママの古い日記、あたし、読んだわ」
「ちくしょう、ママの部屋へはいりたがるのは、そんなことじゃないかと思っていたんだ」
 愛一郎は、血相をかえてカオルにつかみか
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