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 四一 嗟、此の身久しからずして地上に横たはらん、神識逝けば棄てられ、猶ほ無用の材の如けん。
 四二 怨が怨に對して爲し、敵が敵に對して爲す處は如何なりとも、邪に向ふ心の造る害惡に若くものなし。
 四三 母、父、また其他の親戚の爲す所は如何なりとも、正に向ふ心の造れる幸福に若くものなし。
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    第四 華の部

 四四 誰か此の地を征服す、(誰か)又此の閻魔界と天界とを征服す、誰か善説の寂靜への道を摘むこと猶ほ賢き人の華を(摘むが)如くする。

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此の地―人、餓鬼、畜生。
閻魔界―地獄。
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 四五 佛教を學ぶ人は(此の)地を征服す、又此の閻魔界と天界とを(征服す)、佛教を學ぶ人は善説の寂靜への道を摘むこと猶ほ賢き人の華を(摘むが)如くす。
 四六 此の身は水沫の如しと知り、陽炎の如しと覺る人は魔羅の華箭を壞り、死王を覩ることなし。

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魔羅の華箭―吾人の心を誘惑する諸の欲境に喩ふ。
死王―所謂閻魔王にして「死王を覩」とは死して地獄に墮つるを謂ふ。
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 四七 
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