堅き縛と謂ふ、(彼等は)顧慮なく此を切り欲樂を斷ちて遍歴す。
三四七 貪に著する人は自ら造れる流に沿うて行く、蜘蛛が(自ら造れる線に沿うて行くが)如く、賢人は顧慮なく此を切り、欲を斷ちて遊行す。
三四八 汝は有の際を窮めて、先を離れ、中を離れ、後を離れ、意一切處に於て解脱し、再び生と老と(死と)を受けじ。
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先、中、後―過去、現在、未來三世の蘊に於ける愛欲を指す。
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三四九 尋思に擾亂せられ、貪猛利にして、生活に樂を求むる人の愛欲は倍《ますま》す増長す、彼は眞に縛を堅うす。
三五〇 尋思の寂靜を樂ひ、恆に熟慮し不淨を觀ずる人は必ず魔の縛を滅せん、彼は(魔の縛を)斷たん。
三五一 究竟に到りて懼れず、愛を離れて罪垢なく、有の箭の斷つ是れ最後の身なり。
三五二 愛欲を離れ、取なく、詞の訓釋に通達し、字の合集と(字の)前後とを知る人あらば、其の人こそ最後身を有する大慧者と謂はる。
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字の前後を知る―初の字を聞けば中と後の字は之を聞かざるも此を了解し、後の字を聞けば初と中との字を聞かざるも此を了解し、中の字を聞けば初と後
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