に好し。

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信度―インダス河のこと、此の地方より良馬を産すと云ふ。
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三二三 此等の獸類に由りては決して未到の處に到るを得じ、唯調めたる人が(己を)調め、善く己を調めてのみ往くべし。

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未到の處―涅槃を指す。
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三二四 陀那波羅柯と名づくる象は醉狂して制し難く、此を縛すれば食せず、(此の)象は(唯)象の林を顧念す。
三二五 睡眠を好み、饕餮に、心昧劣にして、展轉して寢ね、穀類に肥えたる大豚の如き暗鈍者は數《しば》しば胞胎に入る。

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饕餮《たうてつ》―貪り食ふこと。
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三二六 此の心は前には好む所に行けり、欲に隨つて、樂に應じて、(されど)今は我、此を全く制御せん、鉤を執る人が醉象を(制御するが)如くに。

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醉象―象は交尾期に至れば躁暴となり宛も醉狂せるが如し、故に此の時期に於ける象を醉象と名づく。
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三二七 汝等不放逸を樂め、自心を護れ、難處より己を救へ、淤泥に溺れたる象の如くに。

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