むる人は怨憎の混亂中に沒在して怨憎を脱することなし。
二九二 若し所應作を忽にし、又不應作を爲し、貢慢放逸なるときは其の人には心の穢れは増長す。
二九三 人若し常に善く勤めて身を念ずれば不應作を作さず、斷えず所應作を作し、正しく、正知にして心の穢れ盡く。
二九四 母と父とを殺し、又二王を害し、國及び隨行を誅し、婆羅門は害なく過ぐ。

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母―愛の喩。
父―我ありと想ふ慢の喩。
二王―斷常二見の喩。
國―十二處の喩、眼、耳、鼻、舌、身、意、色、聲、香、味、觸、法の十二は精神作用を起し働かしむる基礎なれば此を處と云ふ。
隨行―喜貪の喩。
害無く過ぐ―損害を受くること無く通過し去る。
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二九五 母と父と及び二の婆羅門王を逆害し、虎第五怨を除き、婆羅門は害なく過ぐ。

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二の婆羅門王―斷常二見の喩。
虎第五怨―五蓋の喩、肉慾、貪瞋、※[#「りっしんべん+昏」、第4水準2−12−54]眠、(沈滯)掉悔、(躁動)疑の五は心の明朗を覆障して蓋《かさ》の如くなれば蓋と名づく、虎は五蓋中の第五蓋に喩ふ、虎第五怨は「虎を第五とせるもの」の
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