人若し此等を斷ち、根絶し、全く害すれば、已に過失を吐ける聰き善人と謂はる。
二六四 頭を剃ると雖も無戒にして妄語すれば沙門に非ず、欲貪を具ふるもの如何ぞ沙門ならん。
二六五 人若し※[#「鹿/(鹿+鹿)」、第3水準1−94−76]細一切の罪過を止むれば、罪過の止息せるがため沙門と謂はる。

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沙門―勤勞又は行者の義なれども、其音又「止息」の義に通ずるを以て斯く言ふ。
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二六六 他に乞ふのみにては比丘ならず、一切の所應行を服膺するのみにては比丘ならず。
二六七 人若し現世に於て罪福を離れて淨行に住し、愼重にして世を行けば眞の比丘と謂はる。
二六八 愚昧無智なれば寂默に住すと雖も牟尼(寂默)ならず、智者は衡を執るが如く、善を取り、

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寂默―無言の戒。
牟尼―寂默の義又は賢人の義、寂默と牟尼と音通ずるを以て斯く言ふ。
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二六九 惡を避くれば、此の牟尼こそ眞の寂默なれ、人若し世に於て(善惡の)兩《ふたつ》を量れば夫に由つて牟尼と謂はる。

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量る―この語も、牟尼と音相通ずれ
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