]と譯す。
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 五五 栴檀又多掲羅將た又青蓮華、跋師吉の其等の香も戒の香に如かじ。

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跋師吉―香木の名、末利迦の類なり。
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 五六 多掲羅や栴檀の香は微小なり、具戒者の香は諸天の間に薫じて比類なし。
 五七 戒を具へ、不放逸に住し、正知解脱のものには魔羅便りを得ず。
 五八 大道に遺棄せられたる塵芥聚の中に芳香悦意の蓮華生ずる如く、
 五九 是の如く塵芥に等しき盲ひたる凡夫の中に正自覺者の弟子は慧明を以て顯はる。

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正自覺者―佛のこと。
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    第五 愚闇の部

 六〇 寢ねざる人には夜長く、疲れたる人には路長く、正法を知らざる凡愚には生死長し。
 六一 道を行きて、己より勝れたる人又は己に等しき人に逢はずんば寧ろ獨り行きて誤らざれ、愚者の伴侶とすべきなし。
 六二 「我が子なり、我が財なり」と思惟して凡愚は苦しみ惱む、我の我|已《すで》にあることなし、誰の子ぞ誰の財ぞ。
 六三 愚者にして(己れ)愚なりと想ふは已《すで》に賢なり、愚にして(己
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