ここから2字下げ]
難處―煩惱の離れ難きを喩ふ。
[#ここで字下げ終わり]
三二八 人若し賢善にして行を同じくし、正しくふるまひ、堅固なる友を得ば、諸の險難を侵して歡こんで正念に彼と倶に行くべし。
三二九 人若し賢善にして行を同じくし、正しくふるまひ、堅固なる友を得ずんば、王が亡ぼされたる國を棄つるが如く、獨り行くべし、林中の象の如く。
三三〇 寧ろ獨り行くを善しとす、愚者と侶なる勿れ、獨り行きて惡を爲さざれ、少欲にして、林中の象の如く。
三三一 友は事の起るとき樂なり、滿足は總て樂なり、福は生の盡るとき樂なり、一切苦の斷滅は樂なり。
[#ここから2字下げ]
事の起るとき―友は福あれば助けて此を求め、禍あれば助けて此を避くるを以てなり。
[#ここで字下げ終わり]
三三二 世に母性あるは樂なり、父性あるも亦樂なり、世に沙門の性あるは樂なり、婆羅門の性あるも亦樂なり。
[#ここから2字下げ]
母性―「母と云ふもの」の義。
父性―「父と云ふもの」の義。
[#ここで字下げ終わり]
三三三 戒を持して老に至るは樂なり、信の堅く立つは樂なり、慧を得るは樂なり、諸惡不作は樂なり。
[#改ページ]
第二十四 愛欲の部
三三四 放逸なる人の愛欲は摩魯婆の如く滋茂す、彼は有より有に漂ふ、林中に果を求むる猴の如し。
[#ここから2字下げ]
摩魯婆―蔓草の名。
有―變化的生存。
[#ここで字下げ終わり]
三三五 世に於て猛利なる愛欲に伏せらるゝ人は諸の憂患盛に増長す、茂れる毘羅拏草の如し。
三三六 人あり世に於て此の猛利にして脱れ難き愛欲を能く伏すれば憂患彼を去る、水の滴りが荷葉より(落るが)如し。
三三七 是に由て我汝等に誨ゆ、此處に來會せる者は悉く愛欲の根を掘れ、優尸羅を求むる人は毘羅拏草を(掘るが如く)、以て流れが葦を(穿つが)如く魔羅をして數しば汝等を壞《やぶ》らざらしめよ。
[#ここから2字下げ]
優尸羅―香菜と譯す。冷藥の名。
摩羅―煩惱、蘊、(因縁積集して成れるもの)死の魔を指す。
[#ここで字下げ終わり]
三三八 根侵されずして堅固なれば樹は截らると雖も復た長ずるが如く、是の如く愛欲隨眠壞られざれば、此の(生死の)苦復た起る。
三三九 若し人に可意の物に於て漏泄する強き三十六駛流あれば、貪愛より發する分別の浪は其の惡見者を漂蕩す。
[#ここか
前へ
次へ
全31ページ中24ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
荻原 雲来 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング