いひました。
丘の 南の なたね畑の 中で じつと まつて ゐた 仔牛の 頭に、やがて 小ちやく 生えて 來たのは、白鳥の 羽でも なく、鹿の[#「なく、鹿の」は底本では「なく、 鹿の」] 角でも なく、ふつうの 牛の まるい 角でした。仔牛が お父さん牛と お母さん牛の ところへ かへつて 來ると 二人の 親牛は 眼を しばたゝいて よろこびました。そして いひあひました。
「まあ、よかつた。でも 何て りつぱな 牛に なつた ことだらう。」
底本:「校定 新美南吉全集第四巻」大日本図書
1980(昭和55)年9月30日初版第1刷発行
1987(昭和62)年2月15日第3刷発行
初出:「ろばの びっこ」羽田書店
1950(昭和25)年6月5日
入力:高松理恵美
校正:川向直樹
2005年3月17日作成
青空文庫作成ファイル:
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