にん》というのは、いまでいえば駐在巡査《ちゅうざいじゅんさ》のようなものであります。
「うむ、そうか。」
とかしらは考《かんが》えこみました。そしてしばらく仔牛《こうし》の頭《あたま》をなでていましたが、やがて、
「じゃ、そこへ行《い》こう。」
といいました。そしてもう歩《ある》きだしました。弟子《でし》たちはびっくりしましたが、ついていくよりしかたがありませんでした。
たずねて村役人《むらやくにん》の家《いえ》へいくと、あらわれたのは、鼻《はな》の先《さき》に落《お》ちかかるように眼鏡《めがね》をかけた老人《ろうじん》でしたので、盗人《ぬすびと》たちはまず安心《あんしん》しました。これなら、いざというときに、つきとばして逃《に》げてしまえばいいと思《おも》ったからであります。
かしらが、子供《こども》のことを話《はな》して、
「わしら、その子供《こども》を見失《みうしな》って困《こま》っております。」
といいました。
老人《ろうじん》は五|人《にん》の顔《かお》を見《み》まわして、
「いっこう、このあたりで見受《みう》けぬ人《ひと》ばかりだが、どちらから参《まい》った。」
とき
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