《むら》であることが、盗人《ぬすびと》たちにはわかりました。そして、こんな村《むら》には、お金《かね》やいい着物《きもの》を持《も》った家《いえ》があるに違《ちが》いないと、もう喜《よろこ》んだのでありました。
川《かわ》は藪《やぶ》の下《した》を流《なが》れ、そこにかかっている一つの水車《すいしゃ》をゴトンゴトンとまわして、村《むら》の奥深《おくふか》くはいっていきました。
藪《やぶ》のところまで来《く》ると、盗人《ぬすびと》のうちのかしらが、いいました。
「それでは、わしはこの藪《やぶ》のかげで待《ま》っているから、おまえらは、村《むら》のなかへはいっていって様子《ようす》を見《み》て来《こ》い。なにぶん、おまえらは盗人《ぬすびと》になったばかりだから、へまをしないように気《き》をつけるんだぞ。金《かね》のありそうな家《いえ》を見《み》たら、そこの家《いえ》のどの窓《まど》がやぶれそうか、そこの家《いえ》に犬《いぬ》がいるかどうか、よっくしらべるのだぞ。いいか|釜右ヱ門《かまえもん》。」
「へえ。」
と|釜右ヱ門《かまえもん》が答《こた》えました。これは昨日《きのう》まで旅《た
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