や》にさはがし。
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学頭 やよ、人々、何とてさは雑言致すぞ。
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さはぎ次第に高まる。
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学頭 何とてさは雑言致すぞと申すにな。
第一の所化 所化長順が気が狂うてござる。
学頭 何とな?
第一の所化 所化長順が気が狂うてござる。
長順 否とよ。ふつつに狂ひなどは致さぬ。
第一の所化 (長順に)御宗門を疑ふが、狂はいで何としようぞ。
長順 ふつつに狂ひなどは致さぬ。
第一の所化 その証拠《あかし》が立つか。
長順 立たいでか。わが申開《まをしひらき》はこのやうぢや。(長順腕より数珠を外し、地上に抛ちて足もて踏む。)
第一の所化 咄《とつ》。仕おつたな。(皆々呆れ怒るこなし)
乗円 (憂はしげに、長順に向ひ)御宗門を足蹴《あしげ》に致いたな。
長順 足蹴は愚か、矢を向け申すわ。
第一の所化 やい。よくもほざいたな。はは、御宗門に弓引くと申すからは必定新たなる見証《けんしよう》が付いたであらうな。
長順 見証なんどとは事をかしや。釈迦
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